「カードを使うなら、マイルを貯めて旅行へ行こう」。そう意気込んでマイレージカードを作ったものの、ポイントサイトや決済の複雑なルールを前に、辟易している人は多いのではないでしょうか。
「飛行機に乗らずにマイルを貯める」という言葉は、陸マイラーの間ではよく知られたフレーズです。しかし、日常的に飛行機に乗らない生活を送る人にとって、それは本当に効率的な選択なのでしょうか。
マイルは、ただ貯めれば得をするという単純なものではありません。貯めるべきか、あるいは現金や汎用ポイントを優先すべきか。マイルの損益分岐点と、予約という現実的な壁を見据えて、自分のライフスタイルとの相性を整理しましょう。
マイルとの向き合い方
「マイルを貯める」ことを目的化してはいけません。本来、それは飛行機を頻繁に利用する人が、副次的に受ける恩恵に過ぎません。飛行機に乗る頻度が低いのであれば、マイルに固執するよりも、流動性の高い汎用ポイントを貯める方が、結果的に旅の費用を抑えやすく、使い道の自由度も高くなります。
マイルの本質は「変動相場」
マイルは、特典航空券へ交換して初めて価値を持つ通貨のようなものです。その価値は予約する時期や路線によって激しく変動し、1マイルが1円以下になることもあれば、5円以上になることもあります。
多くの人が見落としがちなのが、この通貨を「使う」時のハードルです。 * 特典航空券の枠は、空席があるからといって常に開放されているわけではない * 人気の時期や路線は、半年前から予約争奪戦になる * 提携航空会社を跨ぐ予約は、システムや規約が複雑になりがち
せっかく貯めたマイルも、行きたい時に目的地へ飛べなければ「塩漬け」と同じです。予約が取れないリスクを考慮せず、還元率だけを追いかけるのは、非常に不確実な賭けといえます。
判断の分かれ目
自分がどちらのタイプに近いか、一度フラットに考えてみてください。
マイルを貯めるべき人
- 年に数回以上、特定の航空会社を利用する予定がある
- 家族旅行など、時期と目的地が毎年決まっている
- 複雑な規約や、予約争奪戦の手間を楽しめる
マイルを貯めないほうがいい人
- 飛行機は年に1回乗るか乗らないか
- 旅行先は毎回バラバラで、安い航空会社やLCCも検討したい
- ポイントを支払いや買い物に充てる「自由度」を重視したい
汎用ポイントであれば、貯めたその日から現金と同じように使えます。対してマイルは、利用時に手数料がかかったり、有効期限が迫って焦ったりする制約が付きまといます。その「手間」を支払ってでもマイル単価で得をしたいのか。それとも、現金に近い使いやすさを取るのかが分かれ道です。
賢い選択のための準備
マイルを貯めると決めたなら、あれこれ手を出さないのが肝心です。自分の生活圏から飛んでいる会社、あるいはメインで使うカードと提携している会社を1つだけ選びましょう。マイルを分散して貯めるのは、飛行機にあまり乗らない層にとっては最も非効率です。
また、最初から航空会社系カードに絞るのではなく、「ポイントが貯まりやすく、必要ならマイルにも変えられる」クレジットカードを選ぶのも手です。有効期限が迫った際、「今回は諦めて別のポイントとして使おう」と柔軟に切り替えられるからです。
カードを作る前に、公式サイトで「特典航空券の空き状況」を検索するシミュレーションも欠かせません。行きたい時期に、どれだけ空席があるのか。その現実を見て「これなら挑戦したい」と思えるかどうかが、適性を測る一番のテストになります。
よくある誤解
クレジットカードの「高還元率」という言葉を鵜呑みにしてはいけません。年会費やマイルへの交換手数料を支払っている場合、特典航空券が取れなければ、年間で数万円の損失になることもあります。
また、マイルで予約しても、燃油サーチャージや空港使用料などの諸税は別途支払う必要があります。LCCのセール価格と、マイル利用時の諸税を比較した際、必ずしもマイルがお得とは限りません。
ポイントサイトの攻略に費やす時間を「時給」で換算してみてください。その時間を副業やスキルアップに充てたほうが、結果的に好きな航空券を買う資金を早く作れる場合も少なくありません。マイルは、あくまでライフスタイルの一部として捉えるのが賢明です。